植物性エストロゲン。これを含んだ素材/食材は身近に存在し、女性特有の悩みに対して使われるポピュラーな素材。サプリメントやハーブティだけでなく、コスメにもこれらの素材が使われている事もあります。

チェストベリー(西洋ニンジンボク)
プエラリアやイソフラボンはバスト向けだけでなく、フェイスケア用のクリームにも配合され、プラセンタは美白と保湿向けに、甘草は消炎作用、甘草から抽出したグリチルリチン酸は医薬部外品の有効成分としても有名ですね。
植物性エストロゲン(phyto-estrogens)とは
植物性エストロゲンは、ファイト(フィト)エストロゲンとも呼ばれ、ファイト(フィト)とは「植物」を意味します。ギリシャ語の’植物’を表す’phyto’という単語と、雌の哺乳類の繁殖力を引き起こすホルモンである’esrogens(エストロゲン)’に由来するとされています。
植物性エストロゲンは内分泌器系で作られるわけではないので、食餌性エストロゲン(dietary estrogens)と呼ばれることもあります。
その種類は豊富で、イソフラボン類、クメスタン類、レソルシル酸ラクトン類、トコフェロール類、リグナン類など300種類以上が確認されています。
植物性エストロゲンの効果
当然ながら効果もエストロゲンの作用と同じく、豊胸作用、更年期障害、PMSの緩和や骨粗鬆症に効果を期待できます。これらの効果は、エストロゲンと同じ、フェノール核を植物性エストロゲンが持つため同様の作用があると考えられています。
体内エストロゲンとは違う効果
この植物性エストロゲンは、人体に存在する本来のエストロゲンよりも作用は弱いですが、体内に入ると、エストロゲン・レセプター(エストロゲンの作用を起こさせる為に結びつく受容体)を、体内のエストロゲンと奪い合う為、エストロゲン過剰からくる症状に効果があります。
(だからといって、飲み過ぎても大丈夫という事ではありません。植物性エストロゲンを摂取し過ぎると、結局エストロゲン過剰になってしまいます。)
逆に人工的に合成されたエストロゲンは、天然エストロゲンと比べ排出されるのが遅く、体内に長期間滞在し、体に害を与えることがあります。
関節炎や歯周病への効果の可能性も示唆されています。
(出典:ペリネイタルケア 1996vol.15 より)
これらは、卵胞期に分泌される卵胞ホルモンのエストロゲンとよく似た働きをする植物エストロゲンを含んでいるため、卵胞期に摂取するとより効果的だとされています。
癌予防、癌リスクを低下
ホルモン産生に関係する癌というのは、適切な食物を摂取し体内のホルモン量を調整することで治療することができるのです。
植物性エストロゲンについては幅広い研究がなされていますが、その研究結果の肯定的なものとして、植物性エストロゲンは乳がんおよび卵巣癌といった癌治療に役立つことがわかっているのです。2009年に行われた乳がん患者5000人以上を対象にした研究で、非大豆植物性エストロゲンの摂取は乳がん患者の死亡率・再発率を減少させたということが分かりました。
また、800人以上の女性を対象にした研究では、植物性エストロゲンを摂取することで子宮内膜がんの発生率が54%低下したことも分かったのです。
特に乳がんに関して述べると、セロリやパセリに含まれる植物性エストロゲンの一種である’アピゲニン’という成分が、乳がん細胞を減らすのに最も効果があるということも分かっています。
他論にて、
エストロゲンが十分な女性(特に若い女性)は過剰に摂取する事で、多嚢胞性卵巣(PCO)・特定の癌といった症状・病気につながることが示唆されています。逆に更年期を迎える年代からは、エストロゲンの量が不足しているので、癌リスクなどを低下させることができると言われています。
これについては賛否ありますが、日本では
乳がんのリスク要因としては、そこに書いてあるような初産年齢、初潮年齢、閉経年齢、出産経験が非常に大きなファクターでありまして、これを考えないでモノを言うのは危険であるというぐらいの非常に重要な要因がわかっています。日本において、乳がんが非常に低いということから、それはもしかしたら日本人がよく食べている植物性のエストロジェン、大豆製品からくる植物性のエストロジェンが、関連しているのではないかという説もあります。
(出典:内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会(第2回)-厚生労働省HP より)
大豆などに含まれる植物性エストロゲンは、血清中のエストロゲン濃度を低下させ、乳がんのリスクを下げる可能性が示唆されており、日本人の乳がんの少なさとも関連するとの指摘もある
(出典:内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会 中間報告書-厚生労働省HP より)
これからの研究も必要ですが、植物性エストロゲンとガンについての関係は良い効果としてとらえられているようです。
但し、過剰な摂取によりリスクが増すと考えられているものもあるようです。
更年期障害の症状を改善
更年期の女性にとっては、日々の食事に植物性エストロゲンを加えることで様々な症状を改善する、ということが研究によって分かっています。
更年期とは、生殖不能期へのいわば移行期となるものです。出産の可能性は消滅しますが、女性としての活力や健康が損なわれるわけではありません。
更年期の最大の問題は、エストロゲン・プロゲステロン・テストステロンといった性ホルモンの量が体内で予測できずに変化してしまうことです。
閉経周辺期には、体内のホルモンバランスが崩れてしまわないように植物性エストロゲンを摂取してホルモンバランスを正常に保つべきであると推奨する医師もいます。
更年期の女性が植物性エストロゲンを摂取するべきもう1つの理由は、ビタミンDと一緒に摂取することで急激な骨密度の低下を防ぐことができるということです。
また貧血などの原因となる血流中の鉄分不足を防ぐ効果もあるということが分かっています。
ダイエット効果
植物性エストロゲンの一種である’ゲニステイン’と呼ばれる成分は、肥満に対して効果を発揮するということが分かっています。この’ゲニステイン’は確かに肥満を改善する効果があるのです。
肥満の改善になるという根拠についてはさらなる研究が必要ですが、肥満を改善する何らかの効果は存在しています。
精力増強
植物性エストロゲン(特にビールに含まれる植物性エストロゲン)は射精を遅らせて、性欲を高める効果があるということが分かっています。
豊胸作用
植物性エストロゲンは性ホルモンであるエストロゲンと同様の働きを持つ。そのため乳房組織に大きな影響を与えることができ、結果的に胸の密度を高めることがでます。
”思春期が起こる(胸の成長が始まる)前に植物性エストロゲンを摂取する。”と書かれているのを見かけた事がありますが、そもそも若い方の摂取はお勧めしません。

大豆です。この大豆はスーパーフード(有効成分を豊富に含む食べ物) として認知され、以前は最も植物性エストロゲンを含んでいるとされていました。
但し、サプリの場合は長期摂取が基本ですね。

他類もアンチエイジングなどの有効的な作用があるようです。
また、植物性エストロゲンは必ずしも人間に必要な成分ではないので、栄養素としてとらえられていません。
男性への効果
植物性エストロゲンの中でもプエラリア製品に多くみられる口コミですが。
男性も使用し、バストが大きくなった 薄毛が治った など男性への効果を目にする事がありますが、実際は男性に植物性エストロゲンはほとんど作用しません。
ただ、全く作用しない訳ではないので効く方にはしっかり効果があるのかもしれませんが(管理人のおっさんには全く効果がありませんでした)、性同一性障害の方であればホルモン注射や、薄毛の方であれば、効果が認められた医薬品の育毛剤がありますので、まずはそちらから検討した方が良いと思います。
上記のように早漏の解消や性欲を高める効果はあるようです。
副作用など
他参考
生理不順
女性ホルモンに作用するので生理が遅れる(乱れる)可能性もあります。
実際、当サイトにも「ハーブ名+生理が遅れる」とう検索ワードでの流入もあるので、ハーブが原因で生理が遅れた(かもしれない)方も存在するようです。
これに関しては、基本的にそのハーブやサプリを休止する事で生理が正常に戻ります。
これでも治らない場合は、他の原因だと思われますので医師に相談を。
植物性エストロゲンは、こういった症状の改善に利用される事もありますが、時には高エストロゲンの食品をあえて避ける事も必要なようです。
エストロゲンが十分な女性(特に若い女性)は過剰に摂取する事で、多嚢胞性卵巣(PCO)につながることも示唆されています。
妊娠率の低下
人間や羊・チーター・ネズミといった動物において、植物性エストロゲンに富む食物を摂取することで妊娠の発生率を減少させてしまう、ということが分かっています。
また、普段の食事から植物性エストロゲンの摂取を抑えたことで、妊娠率が増加したということもある実験によって分かっています。
子どもへの影響
妊婦が植物性エストロゲンを多量に摂取することで、先天性なアレルギーを持つ子供が生まれる可能性が高まるということが分かっています。
原因として特に注意しなければならないのは、植物性エストロゲンの一種である ‘ゲニステイン’の摂取です。


植物性エストロゲンが含まれる植物
甘草、いんげん豆、なつめやし(ノコギリヤシ)、ザクロ、りんご
大豆、ひよこまめ、サクランボ
むらさきうまごやし、大豆芽、ふじまめ、緑豆、赤豆、乾燥エンドウ豆
からす麦、大麦、らい麦、ごま、小麦、エンドウ豆
(麦芽、綿実、やし、米)などの油、穀類、レタス
アマニ、レンズ豆、海藻、大豆、からす麦、いんげん豆
ういきょう、にんじん、アニス、ホップ、テンペ(インドネシア発祥の発酵食品)、亜麻仁、さつまいも、ジャスミンオイル、コーヒー、カンゾウ根、バーボン、、ビール、サルビアセージ油
(一部出典:ペリネイタルケア 1996vol.15 より)
これらは植物性エストロゲンが含まれているという一例で、含有量は様々、他にも沢山の植物に含まれています。ですのでこれらを食べれば「バストアップに直結…」という訳ではありません。
果物や野菜、そして粒穀物には必ず植物性エストロゲンが含まれています。
天然(植物性)プロゲステロン
植物性エストロゲンとひとくくりにしていますが、これらの素材はプロゲステロンとしての役割を担います。

日本ではあまり聞かないハーブ。ユニコーンルート(agueroot)
これらはジオスゲニンという成分を含み、体内でプロゲステロンを生成すると言われています。
エストロゲンが多い場合、逆にプロゲステロンが少ない場合は、こちらを摂取してみましょう。
エストロゲンが増えすぎる事による悪い作用をプロゲステロンが中和します。
植物性エストロゲンサプリを摂取して、全然効かない、症状が悪化する場合は、エストロゲン過多かプロゲステロンが足りない場合があります。
植物性エストロゲンにもエストロゲンのバランスを整える作用がありますが、植物性エストロゲンの豊胸作用などを期待しつつ、天然(植物性)プロゲステロンでバランス維持をする。
バストアップサプリはだいたい、植物性エストロゲン(プエラリアなど)+ワイルドヤム(チェストベリーなど)と複合で含まれている場合が多いので、余り気にする事ではないかもしれません。

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