エラスターゼとは
エラスターゼは、タンパク質を分解するプロテアーゼの分類の一つで、膵臓に由来する酵素です。
エラスターゼは膵臓の腺房細胞にプロエラスターゼとして存在していて、腸内に分泌された後にトリプシンにより活性化され、エラスターゼになります。膵臓以外にも動脈壁や白血球、血小板、脾臓などにも存在していますが、血中のエラスターゼは膵臓由来のものが殆どですので、膵臓の状態を調べるときのマーカーとしても役立っています。
この酵素は急性出血性膵炎で血管壁の破壊に関与するタイプのものと、エラスチンの分解作用に関わるタイプのものがあります。これらの特性を活かし、この酵素を含む薬は動脈壁への脂肪沈着や動脈壁のエラスチンの変性、およびコラーゲンの異常発生を抑制し、動脈硬化の発症を予防するために使われています。
また、コレステロールの動脈壁への沈着を抑制し、動脈壁の弾性線維エラスチンの変性を抑えてエラスチン生成を正常化することもできます。
これらを見てもわかるとおり、動脈硬化を起こす人や高齢者というのは膵臓の酵素の活性が著しく低下していることになりますので、検査だけでなく、不足している酵素を補うことによって症状の大幅な改善が期待できるということになります。実際の治療で利用されている薬に使われている成分は、人の膵臓中から発見されたエラスターゼESと呼ばれる酵素を元に、動物の膵臓から取り出した酵素を用いて作られています。エラスチンだけでなく、カゼインやフィブリン、変性コラーゲンなどの体内に悪い影響を与える物質も分解することができますので、様々な治療に用いられています。
このように、酵素の一つでありながらエラスターゼは医療関係でもかなり使い道が多い物質です。加齢やストレスなどで体内の酵素の量は徐々に減少していくといわれていますが、健康を維持するためにも積極的に酵素の減少を抑止する生活を心がけたり、サプリメントなどで補う必要があります。

エラスターゼの役割
エラスターゼの役割からみると、この酵素はコラーゲンとともに、結合組織の機械特性を決定している弾性繊維のエラスチンを分解します。
エラスチンは本来、コラーゲンの線維を支える役割を持っており、皮膚や血管に弾力を与えています。しかし、何らかの事情でこのエラスチンが変質した場合、逆に人体にとって有害な存在となり、様々なトラブルを引き起こします。エラスターゼはこのエラスチンを分解することによって体内のバランスを保っており、健康の維持には必要不可欠な酵素の一つとなっています。
エラスターゼによるエラスチンの分解が阻害されない場合に起こる症状は、場合によっては生命にもかかわることがあり、肺気腫や動脈硬化など重篤な病気を引き起こします。好中球エラスターゼは、通常の生理的状態では、好中球内で細菌や異物を消化・分解し、好中球外では、エラスチンやコラーゲン、免疫グロブリンなどを分解し、体内の組織生合成を調節しています。いずれも体内に必要不可欠な物質ですが、過剰に生成されると人体に悪影響を及ぼすこともありますので、エラスターゼが過剰な供給分を分解することにより、体内のバランスが保たれています。
一方病的状態では、エラスチンやプロテオグリカン、膠原線維などを不活化しています。体に炎症が生じた際には好中球が炎症のあるところに浸潤しますが、場合によってはかえって炎症を引き起こすこともあり、注意が必要です。
エラスターゼの働きが過剰になると、組織の弾力性を保つエラスチンなどの物質が必要以上に分解されてしまうため、血管や組織が固くなり、正常な機能を失ってしまいます。そのため、この酵素は活性化するだけでなく働きを阻害することも必要で、常に膵臓によってバランスをコントロールされる存在となっています。健康な状態でのエラスターゼは、心臓病や肝臓病、糖尿病などの病気の予防にも一役買っていますし、脂肪の分解も促しますので、脂肪肝の予防にも役立っています。
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