酵素-トリプシンの役割とは

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トリプシンとは

トリプシンとは、膵臓の膵液に含まれている消化酵素の1つで、タンパク質分解酵素です。
語源は、ギリシャ語の「tripsis(摩擦・粉砕)」に由来していると言われています。

トリプシンは、膵臓から不活性のトリプシノーゲンとして十二指腸の中に分泌され、エンテロキナーゼ(自家加水分解)により、分子の端が切断されたものがトリプシンとなり、pH8.0付近で活性をもちます。また、キモトリプシノーゲンを一部加水分解して、キモトリプシンとするのに必要な酵素でもあります。そして、トリプシンインヒビター(オボムコイドやアンチトリプシン)によって阻害を受けることもわかっています。

ヒトトリプシンの場合は、コードしている遺伝子は第7染色体のq32-q36のTRY1です。また、ヒトではトリプシンの最適なpHは8-9程度の弱塩基性であると言われています。
トリプシノーゲンを活性化する他に、他の不活性の酵素前駆物質を活性化することがわかっており、腸内で食物中のタンパク質を分解すると言われています。さらに、タンパク質分子の端から分解しているわけではなく、分子の内部、つまりポリペプチドの中のリジンやアルギニン、有機化合物の原子団の一種であるカルボキシル基の場所を分解し、ペプチド鎖の末端ではないペプチド結合を切断する酵素であるエンドペプチターゼだと言われています。

以上のことから、トリプシンは膵臓から分泌され、灰白質の消化酵素の役割を果たすことがわかります。
また、タンパク質分解酵素のトリプシンは、食物の中に含まれるタンパク質を消化するために、十二指腸内で活性化され、その役割を果たすことがわかります。

タンパク質は人間の身体を作っている基本的な物質なので、タンパク質を分解するということは、人間の身体そのものを分解してしまうと考えるかもしれませんが、そうならないように、人間の身体はしっかりできています。

しかし、活性化することにより、膵臓を自己消化してしまい、結果的に膵炎を起こしてしまいます。つまり、他の消化酵素を活性化しますが、消化酵素が活性化することで膵炎を悪化させてしまい、慢性膵炎の病態を形成する中心的な働きをしてしまうと言えます。

トリプシンは、他のキモトリプシノーゲンをはじめとした多くの酵素の前駆体を活性化させる役割があると言われています。この作用から、トリプシンは別名「鍵酵素」という異名も与えられてます。
トリプシンの働きを抑えるトリプシン活性阻害物質があり、これをトリプシン・インヒビターと言います。この物質は、主に生の大豆に豊富に含まれていることがわかっています。また、この物質はタンパク質分解酵素の働きを阻害したり、膵臓を肥大させることがわかっていたので、身体には悪影響と考えられていましたが、体内のインスリンを増加させる作用があることもわかっているので、糖尿病の治療や予防に役立つと考えられています。

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