・クレンジングは化粧落とし。洗顔は通常の汚れ落とし。
これらの中でも汚れを落とす仕組みが溶剤型と界面活性剤型に分けられていますので、まずはこれらを理解しておきましょう。
溶剤型
・当たり前ですが、油と油はよく混ざります。
この性質を利用し、油汚れを「油性成分」によって落とす(オイルで油汚れを浮かせる)のが溶剤型の役割です。
・脱脂力が高く、ウォータープルーフ系のリムーバーは溶解剤である事が多くなり、全成分表の上部に油性成分が出る場合は溶解型と判断できます。

界面活性剤型
・「界面活性剤」が油汚れを包んで洗い流す事によって汚れも落とす。
・全成分表では油性成分より上部に界面活性剤がある場合は界面活性剤型と判断できます。
クレンジング
・基本的にメークを落とす・洗い流す為のものですので、長時間肌上に放置しておくことや、パックは必要以上にうるおいを落としかねないので行ってはいけません。
・ナチュラルメイクや日焼け止めのみの場合も酸化や乾燥の原因になるため、洗顔だけでなく(その日の内に)クレンジングが必要です。
・また、肌への負担を気にして量を減らすと、摩擦で余計に肌を傷めることになるので肌に抵抗がなくスルスル滑る程度の使用量が必要になり、手のひら全体でやさしく滑らせるのがベスト。
・使用中・使用後にゴシゴシ擦るのはNG。これも肌を傷つける(色素沈着、肌荒れの)原因となるので、拭き取る時も肌を押さえるように拭き取ります。
溶剤型グレンジング料
・だいたいのクレンジング料はこの溶剤型となります。
ミルクやクリームタイプは「水性成分」を使用し、オイルタイプの場合は水性成分不使用か僅かに使用する程度です。
別で界面活性剤型クレンジング料も存在しますが、こちらの溶剤型でも少なからず油が残り、水でも流せないため、それらを落とす為に界面活性剤(主に非イオン系)も配合されています。
・先述した通り、油性成分が大きな役目を担うため、全成分内での配合量も多くなります。
・クレンジングミルク・クリームは通常の乳液やクリームと基礎は同じですが、違いは有効成分(機能性成分)が必要最低限しか含まれていない点にあります。
よってメーク落としにはクレンジングが一番ですが、油性成分を多く配合しているクリーム・乳液を代用する事も可能です。

よく使われる油性成分
・メーク、油汚れとよく混ざり、安価・安全・安定している「トリエチルヘキサイン」「エチルヘキサン酸エチル」「ミネラルオイル」などがクレンジング料によく配合される油性成分です。
界面活性剤型クレンジング料
・こちらは界面活性剤に加えて、それを溶かしておく水性成分が成分上部を占める事になります。
油汚れに対し界面活性剤が効果を発揮するため、油性成分はほぼ含まれる事はありません。
よく使われる成分
界面活性剤型では「グリセリン」「BG」など「多価アルコール」がよく使われ、「非イオン界面活性剤」と組み合わせてできる液晶構造の中に油汚れを包み込みます。
■実際に読み解く

ナールスエークレンズ
このクレンジングは、洗浄力の高いオイル系の溶剤型ではなく界面活性剤型で、非イオン界面活性剤のラウリン酸ポリグリセリル-10と保湿剤の役目もあるBGやグリセリンなどと合わせて汚れを落とすタイプです。
・非イオン界面活性剤の洗浄力はあまり高くありませんが、洗浄力の高いアニオン界面活性剤のラウロイルグルタミン酸Naを配合することで今回試したようになかなかの洗浄力を生み出している模様。
しかも「グルタミン酸」とあるように、こちらはアミノ酸系の成分で、オイル系とは違い肌にやさしいながらもしっかり落ちる成分。
但し公式サイトにもあるように、オイル系のような肌への負担が少ない分、油分に対する洗浄力はそこまで高くないのでウォータープルーフは非対応です。用途によって使い分けて下さい。
・保湿剤/肌質改善としてはペンチレングリコールやグリセリン、ヒアルロン酸Naからこんにゃくセラミドで有名はグルコシルセラミド辺りまでで、以下の植物エキスは肌荒れの改善やシソ葉、アーチチョーク葉エキスは主成分である「シナロピクリン」により「タナクラクレイ」によって吸着/洗浄された毛穴を引き締める収れん作用など、それぞれ機能性成分としての役目を果たしています。
尚、香料無添加とありますが、ダマスクバラ花油が香料としても機能しているようです。
・パラベン不使用。でも防腐剤は少なからず必要と思い探していると、ペンチレングリコールは防腐も兼ねている成分でした。
・β-グルカンと同じくマイタケのα-グルカンも健康食品で注目されているようです。
コスメ成分として配合されるα-グルカンは保湿剤として使われる事もありますが、今回は金によって多少落ちた洗浄力(想像。公式に聞いてみようなか)をカバーするキレート剤かな??
タナクラクレイと同じく吸着剤かも。
・プラチナは強い抗酸化力を永続的に維持しサビない成分で、美顔ローラーでも有名です。今回配合されている金も公式では「活性酸素を取り除く」とあるように同様の目的で配合されているようですね。
金箔クリームで有名なロイヤル化粧品のEXクリームを使用した時は温感効果も感じられましたが、こちらはもっと小さいナノ化した金。クレンジングですので長時間肌に置くのはNGです。
洗顔
・ぬるま湯でも汗やほこりなどは落とせますが、皮脂の油分は落ちにくく放置していると酸化してしまうため洗顔料は必要です。
洗顔料を使わないと成分の浸透も阻害してしまうため、その後のスキンケア製品の機能も悪くなってしまいます。
・洗顔料の泡立ちは肌への摩擦を軽減して悪くない機能ですが、脱脂力が強くなっている場合も多く乾燥した肌にはデメリットも存在するため、しっとり感の出る「保湿剤」や油分がしっかり配合された製品を選んだ方が良い場合があります。尚、固形石ケンも洗浄力が高くなっています。
しかも泡立ちが悪い製品でもネットを使用することで良くする事もできるので、「手だけでよく泡立つ」という観点以外で洗顔料を選ぶ事も重要です。
・洗い流す時は32~34℃が適温で、それ以上(40℃近く)のお湯を使うと、せっかくのうるおい成分も洗い流してしまいます。

但し、三重大学皮膚科/花王株式会社研究所の調査によると、油分やセラミドの場合は「うるいおいを失いにくくする」という結果が出ているので、乾燥肌傾向の方は泡立ち云々よりもこれらの成分がはいった洗顔を選んでみては如何でしょうか。

界面活性剤型 洗顔料
・洗顔料はクレンジングとは逆にほとんどが界面活性剤型となります。そのため油性成分が入っていたとしてもごく少量です。
油性成分である高級脂肪酸(○○酸 など)が上部を占めている場合も溶剤型ではなく界面活性剤型に分類されます。

ですので、高級脂肪酸類に加えて水酸化Naや水酸化K、または「ステアリン酸K」など(高級脂肪酸のステアリン酸と水酸化Kが中和反応)も成分表示に入っているでしょう。

・界面活性剤の中でも水に溶けやすい「アニオン界面活性剤」がよく使われています。これによりとても水で洗い流しやすくなります。

なので危険・安全以前に化粧品の場合は気にする必要は無いという事です。
固形石鹸
・固形の場合まとめて表記される事もありますが、この場合は「石ケン素地」となり、パーム油やヤシ油、オリーブ油などの油脂と水酸化Naがケン化反応(ケン化法)してできたものです。これらもまとめて石ケン素地と表記されたり、各油脂と水酸化Naが個々で表記されている場合があります。
個々で表記されている場合、ラベンダー油のように同じような精油が香料として配合されている場合もありますが、その場合、香料は下位に表記される(少量でも十分効果がある)ので、成分の順位で界面活性剤か香料かを判別できます。
・固形石鹸の場合は石ケン素地。他液体、ジェル、ボディソープの場合はカリ石ケン素地となり、素地によって固形か液体かを判別することができます。
■実際に読み解く

アレッポ石鹸のレビューより
市販の固形石鹸よりもシンプルで少し違う構成でした。
・主成分に石ケン素地を構成する成分(油脂)のオリーブオイルと油月桂樹油=ローレルオイル。
・Phを調整するアルカリ剤は苛性ソーダは水酸化Naと同意。
・それと水によって今回は固形石鹸が形成されているようです。
苛性ソーダは強めのアルカリ性ですが、基本的に中和されているので苛性ソーダ自体は残っていません。
今回の石ケン素地はアニオン界面活性剤となり、一般的な固形石鹸と同じく洗浄力や泡立ちが高くなっています。
シャンプーとしても利用できますが、各植物油が配合されているとはいえ、シリコーンが配合されていないので植物油の配合比率によっては髪がキシむ可能性があるので慣れが必要になるかもしれません。
各植物油は石ケン素地を構成する成分の役目と共に機能性成分(美容成分)となるのでかなり贅沢。
肌を柔軟かつ保水するエモリエント効果に優れ、この増減によって肌刺激や肌質への用途を調整していますね。
においについては香料にも使われる月桂樹油とみて間違いないです。